粗食とは、粗末な食事のことではありません。穀類と野菜を主とした食事の事をいいます。粗食では、肉をたべません。 粗食にすると体内の消化器官が栄養を吸収しようとして一生懸命働き出します。栄養不足だと体が弱るように思うかもしれませんが、それはちがいます。栄養を摂りすぎると逆に体は、弱くなるものなのです。
小麦粉と塩を混ぜて焼いたパンのようなものとお茶だけ、というこれ以上無いような粗食生活を毎日続けている村がロシアにあるといいます。ごちそうといえば、年に一度ある祭りの際に肉をすこし食べるくらいとのこと。実はこの村はほかに例を見ないほどの長寿村として名を馳せていて、100歳を超えて長生きしている長寿たちが畑仕事をしてどっこい生きているというのです。
昔から一汁一菜の精進料理が健康に良いと言われてきました。実際に御飯と味噌汁と漬物の粗食を一年中、何十年続けても健康上何ら問題ないようで、むしろどんどん無駄なものが削ぎ落されひたすら健康になっていきます。研ぎすまされていく感じ、とでもいうのでしょうか。精進料理を食べているお坊さんを見てみるとわかります。顔のつやもよく、すっきりとしていて健康そうなお坊さんがたくさんいらっしゃいます。
日本人はあれやこれや食べ過ぎ。一日30品目をと唱い、味噌汁でも具沢山にしようとします。それが健康に良いと考えているからです。 本当は、その季節にその土地で獲れるもの数種の野菜で十分なのです。むかしを想像すればわかります。「何を食べるか」ではなく「なにが捕れる(採れる)か」、ということですね。
また、肉についても大きく誤解されているようです。 日本人はむかしから、豆腐・厚揚げ・油揚げ・納豆・おから・がんもどき・きな粉など、大豆できた食品を食べてきました。 大豆には肉に負けない豊富な栄養成分が含まれています。よく、畑の肉ともいわれていますよね。 例えばがんもどき。がんもどきには、牛肩ロース肉(和牛)などよりもよほどたっぷりの栄養成分が含まれています。牛肩ロース肉(和牛)に有るビタミンB12はがんもどきにありませんが、ビタミンB12は海苔に含まれているので、海苔を食べていれば補えます。欧米は大豆を食べなかったから肉を食べる必要があったのですが、日本の食の欧米化によって、粗食でも十分にまかなえていた栄養素に加えて肉を食べるようになってしまったのです。
また、日本では古くからカルシウム摂取のため牛乳を飲むことを推奨していますが、実は牛乳を飲まずとも、日本食・和食の食生活を心がけていれば、ひじきや海藻、小魚などを食べることでカルシウムは十分に摂ることができているのです。
健康によいと言われる一汁一菜の食事。この粗食の一食分に適した量は一体どのくらいなのでしょうか。
これだけです。
みそ汁の具ですが、例えば、わかめ3×3cm位のものを2枚+かぶ1×1cm角を2個+人参1×1cm角を2個+ほうれん草の葉2枚。粗食におけるみそ汁の具の量は、このくらいで十分だといわれています。具沢山のみそ汁がよしとされがちな現代では、考えられないほどの少量かもしれません。おかずと言えるのは、お漬け物とみそ汁の具だけなのに、こんなに少しの品目で栄養的に問題ないのか心配する人もいるかもしれません。が、心配無用です。実際なんの問題もないといいます。多くの人が、この粗食をしばらく続けてみると実感としてわかるといいます。信じられないと思う人も、ものは試しで始めてみると言いかもしれません。体が軽くなり活動しやすくなる。体調が良くなって以前より目覚めがすっきりしている。そのほか様々な身体と心の変化に目から鱗が落ちるはずです。
「粗食」はマクロビと言われる「玄米菜食」とはまったく別物。玄米菜食は魚を食べることも禁じていますが、粗食は魚を食べることを推奨しています。似ている部分も多いので、混同している人もたくさんいるようです。